作品「春の魚」

春の魚

インドの一般女性による刺繍が施された布「カンタ」の展示を日本民藝館で見てぼくは衝撃を受けた。人に見せるための絵とは別な場所にある、自分だけの開放された世界。愛らしい絵の数々は壮大で奇妙な世界に通じていて、モチーフとして使いたい形がたくさんあった。自分の切り絵は紙の断片で絵をつくることで要素をそぎ落とすことになっていると思うけれど、布に刺繍することは、要素を膨らませていく方法だと思った。(20センチ角・切り絵)


2015年の個展「民芸品と暮らす日々」より。
「しずく文様を持つ鳥」とともに、日本民藝館でカンタの展示を見てから作った作品。インドの刺繍布カンタからは、さまざまなモチーフや美しい癖のある文様がたくさん見つかる。それらが大らかな具合に組み合わさり、なんとも言えない魅力的な世界をつくり出されている。そういう自由さにとても憧れるし、そういう世界観で作品を作っていけたら楽しいなと思ったのです。どこか整っていないざっくりとしたノイズのある絵って、なんて美しいんだろうと思う。

地色の他にモノトーン+1色で考えたこの作品は、黒がとても重要なポイントになっています。この絵は自分と同年代の男性のもとへ行きました。日々楽しんでいただいているようでとてもうれしいです。

 


関連記事