カルロス・モスカルディーニ/Manos
CDカヴァーアート *2015年の仕事

アルゼンチンのギタリスト、Carlos Moscardini(カルロス・モスカルディーニ)。
日本盤初となるヒストリーアルバムCD「Manos」(=手)が姫路のハンモックカフェが運営するハンモックレーベルより2015年秋に発売され、CDのカヴァーアートを担当しました。アートディレクションは、アーガイルデザインの宮良当明さん。

これは2015年の仕事ですが、旧so-netブログ時代の記事しかなく、このウェブサイトでは未掲載だったため、改めて取り上げます。

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どういう切り絵の作品にしようかという以前に、まず「アノニマス」=匿名性ということも意識しながら、「手」をキーワードに、「音を素直に形に表すとどんな表情になるだろう」ということを思いながら切りました。3案ほど提案して選ばれたのがこの案。

ジャケットのカバーアートを担当することになり、このCDの音源を毎日のように聴きながら考えました。モスカルディーニ氏のギターは、力強さもありながら柔らかく包み込む感じがあり、丸に近いけれどザックリとした円形でもある形をモチーフに、音の粒を並べて音楽を表現したいと思いました。
中間色も多く使い、やわらかい音の表情を出しています。音は余白があることでより美しく刻まれていきます。余白が音をつくるのかも知れない。ギターの音色は、途切れずに次の音へとつながって音楽になります。音楽を聴くという感覚と、音を聞くという感覚はどう違うんだろう。

などとあれこれ考えつつ、ざっくりした切り跡も残しながら音の断片を切り、手で音楽をつくるように少し重ねて並べていくと、自然と模様のような作品が生まれました。音と音をつなぐことによって音楽になり、それは人々をつなぐ。別の友人が言った「音楽でつながる関係って素晴らしいよね」という言葉も思い出します。

切り絵作品のタイトルは「Round & Sound for people」。CDジャケット面は、作品の中心部分を切り取ったもの。このCDを食事の時など度々聴いていますが、とても心地良く、時代に左右されない普遍的な素晴らしさを感じます。

カルロス・モスカルディーニ「マノス」
Carlos Moscardini / Manos
ハンモックレーベル第2弾作品
http://hummocklabel.com/discography/

作品の全体像
この中心部分を切り取り、ジャケット面に使われています


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