作品「メキシコの鳥」

メキシコの鳥

ぼくはメキシコの民芸品の動物が好きだ。とは言っても、実物はあまり持っていないので、お店で見かけたり本で眺めたりする。その顔の表情はどこか独特な愛らしさがあり、太っていても痩せていても、フォルムにどこか共通する雰囲気があり、これはメキシコかなと予想できる。何年か前、鳥取へ旅したときにおじゃました山根窯の石原さんの部屋に置かれたふっくらしたメキシコの木彫りの鳥は、とても良いフォルムだったと思い出す。(20センチ角・切り絵)


2015年の個展「民芸品と暮らす日々」より。
メキシコの民芸品はとても魅力的。特にウッドカーヴィングの鳥や動物のオブジェクトがとても好きです。でもまだ持っていないので、いつか手に入れたいなあと思いつつ、名著、利根山光人さん「メキシコの民芸」や「世界の民芸」などで度々眺めたりしています。全部同じ人が作っているわけではないと思うけれど、どれも共通する同じ空気感の独特なタッチがあって、ああメキシコだなと分かる感じ。それは、なんとも素敵な愛らしさと素朴さの部分です。「うまく作る」とはまた違う次元の素晴らしさ、人間的な魅力に溢れているから素敵なのかもしれませんね。

この絵は、割と忠実に見たものを描いているという感じが自分としては珍しいように思います。柚木沙弥郎先生が、民芸品などを描いても何を描いても味わい深く魅力的なタッチが生まれるあの感じに憧れながら、日々切り絵やデザインを制作しています。この絵は渋谷で展示し、フクロウのものを集めているという音楽家の女性のもとへ旅立ちました。自分の作品を家に飾っていただけるというのは、なによりうれしいことです。


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