作品「壺の人」

壺の人

世界の民芸品が載った古本などを見ていると、人に見立てた陶器の壺が出てくることがよくある。マヤ文明のもの、独特な文様が入ったシピーポ族のもの、ヨーロッパ各地のもの。国も違ういろいろな場所で考えられ作られたものなのに似ていたりする。人間が考えることは皆同じだということを表しているようで楽しくもなる。顔が付いた壺はどれも、生活の道具でありながらユーモラスで、そこにあるだけで人を楽しくしてくれる。(20センチ角・切り絵)


2015年の個展「民芸品と暮らす日々」より。
顔の付いた壺、わが家にもいくつかあり、民芸の部屋に飾ってあります。どうして顔を付けたくなるのか。どこか人の胴体に見立てたくなるような形を見ていると、なんだかわかる気がします。この作品は、渋谷で展示し、神戸でも展示し、神戸で気に入ってくださった方のもとへ旅立ちました。その方の家には、顔の付いた壺そのものではなく、顔の付いた壺の絵を飾っているなんてなんだか愉快。モノトーンとピンクの色合い、なかなかいい具合です。個展の作品を何枚か作り始めて、ちょっと「のってきた」頃合いの絵だなと思います。


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