作品「居心地のよい場所」

居心地のよい場所

わが家のリビングの壁に自作した棚には、世界の民芸品がいろいろ飾ってある。南米や北欧の動物や鳥の置物、日本の民窯の器や鳥の形の注連飾り、ネパールのお面、そして日本各地の郷土玩具。作られた国も素材もさまざまな民芸品を組み合わせて飾ったときに出来る楽しい空間を、ぼくはとても気に入っている。毎日その景色を眺めながら、民芸品についてあれこれ妻と話していると、あっという間に夜は更けていく。(20センチ角・切り絵)


2015年の個展「民芸品と暮らす日々」より。
この作品をつくった当時に住んでいた世田谷のマンションでは、リビングルームの壁に自作の棚をつぎつぎと増やし、そこに民芸品を飾って、毎日それらを眺めて暮らしていた。昼間は出かけていることが多かったので、夜帰ってきて家でゆっくりとご飯を食べ、民芸品たちを眺めてはあれこれ妻と話しながら夕飯を食べたりお菓子を食べたりした。あの時、あの場所だけの貴重な空間と時間だったと今になって思うけれど、ぼくたちはそこから引っ越して、すべてを新しく始める暮らしを選んだ。その生活が今始まったばかりだ。新しい家が少しずつ自分たちにとって居心地のよい空間になってきたように最近感じている。

 


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