サンタフェの旅1

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今年の夏のアメリカの旅のことも少しずつ書いていきたいと思っています。

今年の7月、世田谷から中野へ引っ越してきてすぐにアメリカへ旅をしました。今まで日本国内の「民芸の旅」を何度もしてきましたが、今回は海外版です。目的は、サンタフェのアレキサンダー・ジラード(フォークアート・ミュージアム)とロスアンゼルスのチャールズ・イームズ(イームズ・ハウス)。写真はジラードの民芸品コレクションの1つ、大きな「生命の木」(メキシコの民芸品)です。

サンタフェにある「インターナショナル・フォークアート・ミュージアム」はとにかく行ってみたかった場所。妻と2日間、二人して何時間もジラードが集めたという世界の民芸品を観て、今まで体験したことのない何とも言えない充実感を味わいました。世界の民芸品が持つこの不思議な魅力って、一体なんだろう。素直さ、素朴さ、あたたかな手の痕跡、自由な色使い・・・感性の部分は、言葉ではうまく言い表せないニュアンスもたくさんあるけれど、結局のところ「作品」とはまた違った位置に存在する、暮らしの中で生まれた人間的で愛らしい造形と言えるかと思います。

ぼくは若い頃に建築を目指したところから始まり、インテリアや家具に興味を持ち、ヨーロッパや北欧のデザインからグラフィックの楽しさを知り、イラストを知り、民芸の存在を知り、日本の手仕事やデザインの良さを再確認し・・その時期その時期に自分が興味を持ったことは、互いに緩やかに繋がりながら存在するものだなあと思っていましたが、フォークアート・ミュージアムを観て、さらにそれらが深く繋がったように思います。

どういう精神で作品を作るかによって、出来上がるものも大きく変わってくるように思います。日々、民芸品に限らずいろいろなモノを観ていくうちに、切り絵を始めた頃とは作品に対する自分の考え方(何を大事にしたいか)が少しずつ変わってきたように思います。ジラードが集めた民芸品のように、生活の中で楽しめる素直で素朴な愛らしさを持った作品を目指していきたいなあとあらためて思ったサンタフェ滞在でした。


2016-10-30 | Posted in blog, column コラム, mingei 民芸と手仕事Comments Closed 

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