作品「雲の人」

雲の人

初めての民芸の旅は、3年ほど前に行った山陰。一週間で、鳥取から島根まで10箇所の民芸の器の窯元を訪ねた。鳥取の空港に降り立つと、赤字の「TOTTORI」という建物のサインの英字バランスがとても新鮮だったことを覚えている。モダンな青緑が印象的な中井窯から器の旅がスタートし、おとぎの国のようなイメージがある出雲まで横断。人も町の景色もどこか控えめで、雲を超えて行かなければいけない遠い山陰が大好きになった。(20センチ角・切り絵)


2015年の個展「民芸品と暮らす日々」より。
ということは、上の文章に出てくる「3年前」というのは2012年頃になりますね。当時の鳥取・島根の旅は、ぼくたち夫婦にとって、後々まで大きく影響を与えている「民芸」との出会いになった旅でした。1週間ほどの間に、いくつもの窯元を訪ね、実際に快く工房の様子、中には暮らしぶりまで見せてくださった作り手の方もいらっしゃいました。鳥取のある窯元の方を訪ねた時のリビングルームに置かれた数々の器はもちろん、海外の民芸品がところどころに楽しく並び、明るい光が射す窓から見える田んぼの風景・・・その鮮烈な印象は、ぼくにとっての楽しい民芸の世界への入口なのでした。

この作品は、東京で展示後、神戸で展示した時に、ある男性に気に入っていただき旅立ちました。

 


関連記事