作品「素敵な予感」

素敵な予感

ぼくたちがこの家に越してきて3ヶ月が経った。あまりに毎日慌ただしくて、やることが追いつかないけれど、少しずつこの家が自分たちを迎え入れてくれて感覚的に馴染んでいく。自分たちは「いずれこんな毎日を暮らしていきたい」というある理想に近づくため、大好きだった場所を離れてこのアトリエをつくり、今そのスタート地点に立ったばかりだ。

そんななか、ふと手を動かしてできた最初の作品。落ち着いた青緑色にモノトーンを合わせた。余計な色はいらない。空間を引き締めるのと同時に「あたたかい色」と捉えて、大事に黒を使った。昼間の明るい光の中、ざっくりとしたラインになるようにバランスを取りながら、はさみで丁寧に時間を切り取っていくと動物が生まれた。この空気が次の方向性へと確かに導いてくれるような気がする。この作品は何日か前にアトリエを訪ねてくださった方に気に入っていただき旅立った。
(2016年10月)


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