夢の中でつくる感覚

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今日は夏のように暑い日でした。切り絵の原画制作をしました。久しぶりに額に入れるサイズの作品なので、感覚を取り戻すのに時間がかかりました。「ああこの感じだ」と手が感覚を思い出す頃には、作業もだいたい終わり。

イラストのオブジェクトそのものの形をデザインに使う時は、手描きから起こした線画をデータにしてから画面上で色を付けて使いますが、やはり、紙そのものの質感が生きる切り絵は違った楽しさがあります。切り絵には色紙を使い、形と色を組み合わせながら絵にしていきます。作っている途中に、違った色を置くことで絵全体の空気がガラッと変わる瞬間がまた楽しくもあります。ぼくにとっては、切り絵はいわゆる「コラージュ」ではなく、もっと「絵を描く」という感覚に近いけれど、でもまた少しニュアンスが違うようにも思います。軽やかな作業と直感的にその都度決めていくスピード感も心地良く楽しいです。

昨日、夕飯の時に妻と話していて「切り絵とDMとかパッケージのデザインではどっちが好き?」と聞かれました。あまり自分でも考えたことはなかったけれど、それぞれに違った良さ、そして制作の喜びの瞬間があるなあと思いました。どちらも感覚的には変わらない部分も多いけれど、確かに作業と判断の過程が違うような。やはり「切り取る」という作業はぼくにとって特別で、とても大事な瞬間なのかもしれないと切り絵をしていると感じます。

今まで色々な切り絵作品を作ってきましたが、後から作品を見ると不思議なもので「ああ、自分はこういうの作ってたんだ?」と人ごとのように思えて、制作の時のことをはっきり覚えていないことも多いのです。どうしてそういう作品になったのかぼんやりしか覚えていないことも。以前も妻には話したけれど、切り絵をするときは不思議と「夢の中で作っている感覚」になることが多いのです。そう、現実的にウンウン唸ってできるというよりは、なんか知らないうちに手が勝手に作っていて、まるで夢の中で作ってきたような感覚。絵を描くときにはその感覚は味わえないので、ぼくにとってはそれも切り絵の面白さなのだとも思います。今日もたくさんの色紙の破片が机の上に散らばっていて、バッサリ全部捨てていいのかどうかよくわかりません。


2016-09-27 | Posted in blog, column コラムComments Closed 

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